迷惑なんて思ってないよ
物心付いていたかどうかも分からない時に遊んでいた俺と姉ちゃんの事を覚えていた。不幸な時ほどそれよりも幸せだった頃を思い出すと言うし、幸せだった頃に戻りたいとも思う。戻れないと知っているからこそ強く願う。
それに、ずっと不思議だったんだ。覚えていなくてもおかしくない俺と姉ちゃんをどうして見ただけで分かったのか。なついていた姉ちゃんならまだしも、一緒にくっついて回っていただけの俺を何で見付けられたのかって。

「私の母、小学校の教師でさ。聖の父親と同級生だったの。たった一度だけ体の関係を持って、私を身籠って。でも、聖の父親が既婚者だって知っていた母は打ち明けなかった。一人で私を育てて高校の合格発表の日に聖の父親を見かけて、母は聖の父親が私の父親だと打ち明けた」

「だから聖に復讐を?」
< 236 / 260 >

この作品をシェア

pagetop