迷惑なんて思ってないよ
「また話し掛けてやってくれないか?」

「はぁ?人の話聞いてた?私はどんな人か分かれば良かっただけ」

「分かった。でもあいつ、俺たちが思っている以上に苦労してきてると思うんだ」

「どういう事?」

俺は自分が感じた憶測を彼女に話した。俺と姉ちゃんを覚えていただけなら、父親が命の恩人なんだって話をしたと言えば納得が行く。でも、常日頃から小さい頃の写真を見ていても分からないくらい歳を取ったのに一度見かけただけですぐに分かった聖の行動についてはどう考えても納得がいかなかった。俺や姉ちゃんの事を調べていたんだとしたら、登校中にばったり会わなかったはずだ。
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