迷惑なんて思ってないよ
純白の衣装を着た姉ちゃんを泣きながら抱き締めていた。頼むから俺を見捨てないで、離さないで。置いていかないで。色んな思いを背中に回した腕に込めていた。せっかく綺麗にした衣装や髪が崩れてしまうなんて頭の中にはなかった。今はただ、離したら二度と会えなくなってしまいそうな姉ちゃんから腕を離す事が出来なかった。

「分かった。一緒においで。五人で一緒に暮らそう」

「ごめん・・・っ。ごめんなっ、姉ちゃんっ」

「良いの。だって私の兄弟は晴人しかいないんだもの」

血は繋がっていない。親戚と言ってもただの他人。なのに姉ちゃんは俺を弟と呼ぶ。
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