迷惑なんて思ってないよ
そばにいられるのに触れられないなんて拷問はない。そばにいられなくても会えば必ず触れられる方がマシだと後者を選ぶのか。
たぶん、今の一緒に住みたいという決断は前者なんだろう。後者である本当の両親と暮らせば姉ちゃんは俺を哀れんで今よりも抱き締めてくれるようになる。でも、俺は姉ちゃんだからこそ同情されたくない。姉ちゃんだからこそ、愛し愛されていたい。同情という偽りはいらない。

「理事長、ありがとうございます」

「ううん、気にしないで~。新しい我が子のためですから」

「ありがとうございます」

俺と姉ちゃんは理事長に深々と頭を下げた。
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