迷惑なんて思ってないよ
二人にとって思い出の町だからいたいのかとも思ったけど、二人だけの思い出の町という訳でも無さそう。結華お姉ちゃんの旦那さんと慶太郎さんも懐かしそうな表情で町を眺めていたから。

「陽奈子とは和解出来たのか?」

「うん!ヒナちゃんのお母さんとお父さんが再婚してね。正式な姉妹なりました」

「そっか。良かったな」

撫でてくれた手は温かかったけれど、心は冷たかった。私をまだ妹としか見ていない。それどころか今日は心すらどこか遠くに行ってしまっている。私の事なんて眼中にないようで、私は勝手に傷付いていた。
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