迷惑なんて思ってないよ
彼女は突然俺の手を掴むと何もない日向に連れてきた。丁度、屋上の真ん中辺りだ。

「凛太郎くんは何がしたいですか?」

「えーっとぉ・・・、あの・・・。何の話?」

「今ここには私と凛太郎くんの二人しかいません。凛太郎くんと話しているだけで睨んでくる女の子も、格好良いというだけで凛太郎くんを追い掛けてくる人たちもいません。私は皆の前にいる時ののんびりとした余裕のある凛太郎くんより、今の気持ちを隠しきれていない凛太郎くんといる方が落ち着けるので好きです。凛太郎くんはどうしている時が一番好きですか?」

柏崎さんを眺めている時が一番好きだなんて言えない。言えるわけがない。
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