迷惑なんて思ってないよ

風の原因は俺の背中の向こうにあった校内へ通ずる階段の扉だった。昨日の男たちが扉の所で彼女に手を振っていたんだ。一番目付きの悪い男が俺に頭を下げたから下げ返したけれど、いったい何の用なんだ。

「せっかくの文化祭だぞー？お前らも楽しんでこい」

「良い物持ってきたんだー」

男たちが俺と彼女に見せてきたのは変装に使えそうな物ばかりだった。目を輝かせる彼女と、そんな彼女を愛しそうに見つめる男たち。いったいどういう関係なんだと思っていると、良い物を持ってきたと袋を開けた目の大きな男が俺の髪を弄り始めた。せっかくの文化祭だと言った口の悪い男が動くなと文句を言いながら、俺に眼鏡をかけさせては外していた。