迷惑なんて思ってないよ
酷い虐めにはなっていないみたいだから俺が庇えば良いと軽く考えていたけれど、もうそろそろ庇いきれなくなる。すれ違い際に悪口を言われたり、ぶつかったり踏まれたりしても謝らない事もあるそうだ。まだ物を隠されたり壊されたりしていないだけマシだとか、水をかけられたり突き飛ばされたりなどの身体被害が出ていないだけマシだとか本人は笑っている。
そんな、辛い事も我慢してしまえる彼女が対象だからこそ、俺は嫌だった。許せなかった。俺が関わらなければ済む話なのかもしれない。でも、やっと自分の気持ちを伝えてくれるようになってきたのに今さらただのクラスメイトになんて戻れないよ。
俺は半ば強引に教師を説得した。所謂、理事長の養子という俺の地位が許した脅迫なのかもしれない。でも、それでも良かった。彼女が楽になるのなら。辛いと思わないでいてくれるなら。
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