迷惑なんて思ってないよ
今日に限って会いに来る訳がない。根拠の無い絶対的な自信があったから、凄く現実味のある夢だと思って柏崎さんの頬に手を伸ばした。でも、俺の手はすり抜けたり風を掴むような感覚には襲われなかった。
温かくて、柔らかくて。とても優しいのにとても胸を締め付ける。まだまだ大人から見たら子供な俺の手でも壊れてしまいそうな、小さい顔にか細い骨。俺が触れた最後の母の頬よりも簡単に壊れてしまいそうだった。

「壊してしまいそうだ・・・」

「怖いですか・・・?」

「とても・・・。おかしくなってしまいそうだ・・・」

本当に壊してしまいそうで怖かった。
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