迷惑なんて思ってないよ
「本当にごめん。慶が言う事を聞いてくれなくて」

「事情は聞いたんだけどよ。一人じゃ心配だって凛が」

「ごめんなさい、今日は本当に無理なの」

どうしたら分かってもらえるんだろう。津田さんにも迷惑が掛かるから早く諦めてほしいのに。早く行かないと帰りが暗くて困るのに。

「良いんじゃない?俺が案内するから、結華ちゃんは会っておいで」

お願い、本当に帰って。そう願っていた時だった。津田さんが一緒に行こうと言ってくれたのは。その言葉にどれだけ救われたか。慶太郎くんは跳び跳ねて喜んでいたけど、凛太郎くんは津田さんに何度も頭を下げて感謝していた。
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