迷惑なんて思ってないよ
骨はあるのに誰の物か分からない、ただの木の板が生み出したちょっとした瓦礫を踏んだだけで誰かの手を踏み潰しているかもしれない。一歩前に進むだけでも気を使わなきゃいけないような場所で十年間も見つかるか分からない両親を探し続けるのってどんな気持ちなんだろう。諦めようとした事は無かったのだろうか。目を背けたくなった事は無いのだろうか。
ご遺体が見つかってちゃんと火葬まで出来た俺たちは不幸な中でも幸せな方なのかもしれない。父親には捨てられ、母親を亡くなりはしたけれど骨をちゃんとお墓に入れてあげる事が出来た俺たちとどれが両親の骨なのか、そもそもどこで命を終えたのかも分からない柏崎さんたちと。人の死に幸、不幸も無いのは分かっているけれど生きているのかも分からない、亡くなっている可能性は高いけれど亡くなっているのかも分からない人を待ち続けるのってどんなに苦しかったのだろう。
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