ある日、学校に監禁されました。
あたしは声を弾ませてそう答えた。


地上からがダメなら、地下からということのようだ。


地下なら風にあたる心配もなく、あたしたちを助けることができる。


「そっか。でも、それなら随分時間がかかりそうだね……」


恵里菜は沈んだ声でそう言った。


「まぁね……」


土を掘りながら町を進むのだから、全員救出まで何か月もかかるだろう。


もしかしたら、年単位の救出劇になるかもしれない。


「防護服が役に立つのかどうかもわからないよね」


恵里菜は疲れているせいかやけにマイナス思考だ。


「大丈夫だよ。相手は風なんだから、人間が負けるわけないじゃん」


あたしはネットニュースを閉じ、恵里菜を励ますようにそう言った。


人間の首が飛んでしまうほどの威力があるのだから、防護服も切り裂いてしまうかもしれない。


でも、それは口には出さなかった。
< 110 / 199 >

この作品をシェア

pagetop