ある日、学校に監禁されました。
その瞬間、あたしは自分の目を疑った。


丸まっているように見えたのは男子生徒の体で、その生徒は誰かに覆いかぶっているのだ。


片手で相手の口を塞ぎ、もう片方の手は拳を握りしめている。


その拳は血まみれになっていた。


「やめろ!」


臼山先生が男子生徒の体を引きはがすが、殴られていた方の生徒はピクリとも動かない。


顔中が血に染まり、頬は大きく腫れ上がっている。


近くにいた女子生徒は悲鳴を上げて逃げ出した。


「離せよ!!」


臼山先生の手を振りほどき、暴れ出す男子生徒。


その生徒は次から次へと、近くにいた生徒たちへ拳を向け始めた。


「千穂!」


新人の声がしたと思った次の瞬間、あたしの体は抱きすくめられていた。


「新人……」


「大丈夫。大丈夫だから」


そう言う新人の体が震えているのがわかった。


新人だって怖いのだ。
< 133 / 199 >

この作品をシェア

pagetop