ある日、学校に監禁されました。
「さっき、ネットニュースを確認したんだ。自衛隊員がトンネルを掘りはじめたみたいだ」


気を取り直すように新人が言った。


「そうなんだ。それなら、もうすぐこの町に入って来れるんだね?」


「その予定になってるらしい。だから、もう少し我慢するだけでいいはずなんだ」


それは新人が自分自身に言い聞かせているように感じられた。


「被害者用の伝言板ができてるから、それに自分たちの現在地を書き込むんだ。そうすることで、無駄な捜索が省けれるようになってる」


そう言って見せてくれたスマホ画面には、すでに井町高校の名前が書かれていた。


他にも近隣の高校や中学、高校の名前もズラリと並ぶ。


学校内に取り残されているのはあたしたちだけではないのだ。


そうわかると、少しだけ強くなれる気がした。


同時に、これほど大勢の人が死と隣合わせの恐怖を感じているのだとわかり、胸が痛んだ。


もしもあのアプリが原因だったとしたら……?


そこまで考えて、かぶりを振る。


いつまでも同じことを考えていたって仕方がない。


少しでも前を向く努力をしなきゃいけない。
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