ある日、学校に監禁されました。
ユーキからの連絡はまたしばらく途絶えるだろうから、もう1度風について調べてみてもいいかもしれない。


「なんか、不思議だよな」


乾パンを食べていた新人が、不意にそう言った。


「不思議って、なにが?」


「こうして学校に閉じ込められるなんて、夢じゃないかって思う」


「……そうだよね」


つい数日前まではいつもの日常を過ごしていた。


それが、あっという間に崩れ去ったのだ。


長い長い夢を見ている気分になるのは、あたしにもよく理解できた。


「目が覚めたら自分の部屋にいて、いつも通りに日常が始まる。そしたら、俺きっと……」


そこで言葉を切って新人はあたしへ視線を向けた。


「なに?」


「真っ先に、千穂を抱きしめに行くかもしれない」
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