ある日、学校に監禁されました。
その言葉に心臓がドクンッと跳ねた。


「な、なに言ってんの」


照れ隠しに水をひと口飲んで新人から視線をそらせた。


いつ死ぬかわからない。


そんな状況だから、新人はきっと気持ちが変化しているのだ。


勘違いしちゃいけない。


「ちょっと地下倉庫から出た方がいいよ。安全かもしれないけど、体を動かした方が頭も回転するし」


早口でそう言うと、新人はどこか寂し気な表情でほほ笑んだ。


そのほほ笑みを見ているとなんだか自分が悪いことをした気分になって、余計に新人の顔を直視することができなくなった。


あたしだって、新人のことが好きだ。


でも、もっと普通の日常の中でその気持ちを伝えたかった。


「そうだな。そうするよ」


新人はそう言い、1人で地下倉庫を出たのだった。
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