ある日、学校に監禁されました。
机や椅子を使うために移動させたとは思えなかった。


「恵里菜?」


もう1度声をかけて教室に踏み入った瞬間、血なまぐさい臭いが鼻腔を刺激した。


片手で鼻をつまんで教室内を見回してみると、散乱した机の間から人影が見えた。


ペチャペチャとなにかを舐めているような音が聞こえてきている。


「恵里菜でしょう……?」


恐る恐るもう1度声をかけるが、やはり返事はなかった。


「ちょっと、なにしてるの?」


敦美がそう言って邪魔になっている机をどかした瞬間、真っ赤な血に染まった死体が見えた。


その死体の腹部に手を差し入れ臓器を取り出している女子生徒。


それは間違いなく、恵里菜だった。
< 176 / 199 >

この作品をシェア

pagetop