ある日、学校に監禁されました。
「これで持てるか?」


「うん、大丈夫だと思う」


新人のおかげで浩二の頭部は完全に隠れている。


人間の頭だと思わなければ大丈夫そうだ。


あたしは一度息を大きく吸い込んで、体操着に包まれた頭部を両手で持ち上げた。


「うっ……」


想像以上に重たくて、思わずうめき声が出た。


落とさないように胸の前で抱きかかえると、血の匂いがツンッと鼻腔を刺激して来る。


一瞬吐き気を感じたが、どうにかそれを押し込めた。


こんなの、生理と同じ匂いだと自分自身に言い聞かせた。


「大丈夫か千穂」


新人は浩二の両足を持ちあげてそう聞いて来た。


臼山先生は肩の方を持ち上げている。


「うん。早く行こう」


浩二には申し訳ないけれど、一刻も早く手から離したかった。


一歩歩くたびに、浩二の首からジワジワと血が滲んで出てきて、それが新人の体操着にしみこんでいく。
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