ある日、学校に監禁されました。
「エアコンの風が凶器にならないだけいいと思わないと」


あたしは明るくそう言ってパソコンの電源を入れた。


どういう原理かわからないが、人殺しの風はエアコンを通すと凶器ではなくなる。


だからこそ、こうして快適な空間にいられることができるのだ。


毎日真夏日を記録している現状で、空調まで使えないとなると死者はもっと増えていくことだろう。


「『人を殺す風』で検索してみたけど、それらしいものは見つからないみたい」


先にパソコンをつついていた恵里菜がため息交じりにそう言った。


「本当だね……」


だけど、この待ちの現象については沢山の人が様々な情報を書きこんでいるようだ。


《匿名希望:風に殺されるって本当?》


《名無し:ニュースではそう言ってるな。あちこちで事故や火災も起こってる》


《匿名希望:死のその風ってカッコよくない?》


《名無し:不謹慎》
< 50 / 199 >

この作品をシェア

pagetop