ある日、学校に監禁されました。
しかし、匿名希望が書きこんだ『死のそよ風』という言葉はその後広がり、この待ちの現象を示す名称になったみたいだ。


「みんな面白おかしく書きこんでる」


もちろん、本気で町にいる人たちを心配する声もある。


でも、ほとんどが珍しい現象を面白がる内容だった。


見ているだけで気分が滅入って来て、あたしは早々にパソコンを閉じてしまった。


「終ったぞ」


丁度その頃、昌良が目張りを終えて戻って来た。


「ありがとう。これで、なにか調べものがあるときに図書館へ来ても安全だね」


あたしはそう返事をして立ち上がった。


目だった成果はなかったけれど、情報はこれからどんどん増えていくことだろう。


最後にちゃんとしたネットニュースを確認してみると、この町を上空から写した写真が載っていた。


しかしそれは人工衛星から撮影されたもののようで、ヘリコプターはあれ以降飛んでいないことがわかった。


「こんなことになってるんだ……」


人工衛星からの写真を見て、恵里菜が小さな声で呟いた。
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