ある日、学校に監禁されました。
「ニュース番組が見たいんだけど、いいかな?」


おずおずとした声でそう言ったのは弘成だった。


昨日は一晩中知枝の手を握りしめていたようで、その手はいまでもしっかりと握りしめられている。


いいなぁ……。


こんな不安な状況でずっと一緒にいてくれる人がいたら、知恵も心強いだろう。


つい、羨ましくなってしまう。


「みんな起きてるし、大丈夫じゃないかな」


新人がそう言い、モニターへと近づいた。


臼山先生はトイレにでも行っているのか、教室内には見当たらなかった。


モニターに電源が入ると、すぐにこの町のニュースが流れ始めた。


昨日からの封鎖状態は継続されていて、今はどんな人でもこの町に立ち入る事はできないようだ。
< 55 / 199 >

この作品をシェア

pagetop