ある日、学校に監禁されました。
「死ぬかもしれないんだぞ」


そう言って3人を止めたのは新人だった。


「覚悟の上だ」


昌良は真剣な表情でそう返事をした。


その表情には決意が見られて、あたしはたじろいてしまった。


あんなに強い顔をした昌良を始めて見たかもしれない。


「みんな知ってると思うけど、俺は生まれてすぐに親に捨てられた。だけど施設の中は暖かくて、親のいる家庭となんら変わらない幸せを噛みしめて生活することができた。


こうして第一志望の高校にも入学して、同じように楽しく学生生活を送ることができて、もうそれだけで十分だと思ってる」


誰に聞かれたわけでもないのに、昌良は自分の気持ちを語りはじめた。


「本当は、捨てられてすぐに死んでもおかしくなかった俺を、この町のみんなが育ててくれたんだ」


「そんなの当たり前だろ」


新人が焦った様子で口を挟んだ。


昌良の告白が、まるで遺書のように聞こえたからだろう。
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