ある日、学校に監禁されました。
「捨て子だろうと、そうじゃなかろうと関係ない。お前が昌良だから仲良くなれたんだ!」


新人の言う通りだった。


勝手に図書室へと移動したあたしたちを心配して追いかけてきてくれて、率先して目張りをしてくれた。


そんな昌良だから、仲良くなったんだ。


「ありがとう。俺は少しでも町に恩返しがしたいんだ。でも、このままじゃこの町は壊滅してしまう。恩返しができるタイミングは今しかないだろ?」


昌良の言葉に誰もが黙り込んでしまった。


この町が消えてしまう前に、昌良はなにかしたいと考えているのだ。


自分だっていつ死ぬかわからないから、悔いのない行動を取ろうとしている。


その気持ちを否定することは、あたしにはできなかった。


「外の様子はビデオ通話で連絡するから」


昌良の視線は新人へ向けられている。


新人は今にも泣いてしまいそうな表情で、キュッと口を引き結んでいる。


昌良の気持ちは固く、あたしたちが何を言っても揺らがないと理解した様子だ。


「絶対に、生きてろよ」


新人の声賭けに昌良はいつもと変わらない笑顔を浮かべた。


「おう。じゃ、行ってくる!」
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