ある日、学校に監禁されました。
悪い事をしているわけじゃないのに、母親にしかられた小さな子供のような心境だった。


「確かに、今あたしたちにできることなんて、ほとんどないもんね。そんな中じゃ、千穂のやってることは唯一の望みかなぁ」


あたしを擁護するように恵里菜は言う。


「もしそうだとしても、ユーキって奴の要求を飲んでたらエスカレートしていくかもしれないよ?」


敦美の表情はまだ険しいままだ。


「そうなったら、連絡を取るのをやめるよ。今はまだ顔写真だから、それほど危険じゃないと思って……」


そう言いながらも、声は徐々に小さくなっていく。


顔写真だけでも十分に危険な可能性はある。


ただ、今のあたしたちはそれ以上に危険な場所にいるというだけだった。


「わかった。それなら、あたしが撮影してあげる」


敦美がため息交じりにそう言い、あたしのスマホを手に取った。
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