ある日、学校に監禁されました。
「ねぇ、なにか臭いがしない?」


不意にそう声をかけて来たのは知枝だった。


知枝は眉間にシワを刻んで、犬のように鼻をくんくんさせている。


「臭い……?」


そう聞き替えしつつ、意識して臭いを嗅ぐ。


するとどこからか灰のような臭いが漂ってきていることに気が付いた。


血などの激しい臭いじゃないから、なかなか気が付かない。


「図書室の外からかな?」


知枝はそう言って図書室のドアを開け、あたしもその後ろへ続いた。


ドアを開けると臭いはきつくなる。


たしかに、学校内のどこからか灰のような臭いがしてくる。


「探してみるか」


あたしに続いて図書室を出て来た新人がそう言った。


臼山先生は他の生徒に捕まっているようだ。


「そうだね、行ってみよう」
< 91 / 199 >

この作品をシェア

pagetop