ある日、学校に監禁されました。
「こんなことしてたらスプリンクラーが作動して火が消えちゃうよ?」


知枝も飽きれ顔だ。


エアコンもついているので、火は終始揺れている。


これじゃなんの意味もなかった。


「別にいいんだよ」


もう1人の男子生徒はそう言い、鞄から教科書を取り出して火の中に投げ入れた。


炎は更に大きくなっていく。


「こんな時じゃないと、教科書を燃やす体験はできないだろ?」


そう言って笑っている。


どうやら、日ごろのストレスを発散する目的で火をつけていたようだ。


殺人風のせいにしておけば誰にも咎められないから、それで嘘をついたのだろう。


そうとわかると、もう心配はいらなかった。


教科書を燃やし尽くしてしまえば終わる事だ。


「せっかく生きてるんだから、火事だけはやめてよね」


あたしたちは3人へそう声をかけて、調理室を後にしたのだった。
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