天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「お前ら、何してるんだ?」
自分でも驚くくらい、冷静に声が出た。

一颯が俺に視線を移し、爽子は振り向こうとはしない。

「どういうことだ?」
爽子ではなく、一颯に尋ねた。

頼むから、俺の納得できる言葉でこの状況を説明してくれ。

無言の一颯。
微動だにしない爽子。
しびれを切らしたのは俺の方だった。

「説明しろっ」
怒鳴りつけた。

「泰介、落ち着け」
見かねた有樹が声をかけるけれど、もう止まらない。

「何とか言えよ」
一颯に詰め寄り襟首をつかむ。

「お願いやめて」
爽子が止めに入った。

「どけっ」
一颯をかばおうとする爽子に腹が立って、声を荒げてしまった。
< 130 / 186 >

この作品をシェア

pagetop