天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「田島くん、先日は悪かったね」
「いえ、僕の方こそ、申し訳ありません」

ご両親の前で手を上げるなんて、やっていいことではない。

「親っていうのはダメな生き物でね、子供のこととなると冷静な判断ができなくなる。どんな子でも子供はかわいい物だから」
「はあ」

きっと、そうなんだろうと想像はできる。

「爽子のことも、たった1人の女の子だからかわいくてね。つい甘やかしてしまった。お陰でわがままに育ってしまった」
「そんなこと・・・爽子さんはいい人です」

嘘ではない。
ちょっと世間とずれているところはあるけれど、純粋で、かわいい人だ。

「先日のことも、本当は私が叱らなくてはいけないのに、無事に帰ってきた安堵感の方が先に立って。申し訳なかった」
頭を下げてくださる。

「やめてください。家を飛び出す原因を作ったのはきっと僕ですから」
謝らないといけないのはむしろ俺の方だ。
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