天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
さっきまでお日様が出ていたのに、急に雨が降り出した。
通り雨かな?

そういえば、2年前も同じだった。


蒸し暑い夏の日。
それは失恋とも言えないような淡い恋。
相手はあこがれていた二つ上の先輩。
付き合っていたわけでも、告白すらしてもいない。
それでも私は好きだった。
それなのに、
偶然彼が話すのを聞いてしまった。

『えっ、高杉爽子?無理無理。だってガキじゃないか』
『そりゃあまあ、高杉建設には入れるなら付き合ってもいいけれど』
『金だけだろ。それ以外何もないじゃないか』

聞いた瞬間息が止まりそうになった。
一緒に話していたのが高校時代からの女友達だったことにも傷ついた。
もう誰も信じられない。
今すぐに消えてなくなりたかった。

その足で大学を飛び出し、普段降りることのない駅に降りた。
目的もなく歩き続け、着いたのがこの街。
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