天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
いつの間にか雨が降り出したことにも気づかず、
ちょうど信号が赤になり、足を止めた。

その時、
「濡れますよ」
と差し出された傘。

私は返事をすることもできず、うつむいていた。.

「ねえ君、大丈夫」
無反応な私になおも声をかける男性。

肩に手がかかり、顔を上げた瞬間。
緊張の糸が切れてしまった。

「うわぁーん」
まるで子供みたいに泣き出してしまった私。

「えっ」
驚く男性の声と、突き刺さるような周囲の視線。

随分と馬鹿げていると思う。
でも、その時の私は自分が抑えられなかった。
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