天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
その先どのくらいの時間がたったのか記憶がないけれど、気がつくと男性と2人バーのカウンターに座っていた。

「名前も事情も聞くつもりはないけれど、歳くらいはいいかな?」

男性に聞かれ、

「二十歳です」
「そう。大学生?」
「はい」

じゃあお酒は大丈夫だねと、カクテルを注文してくれる。


「乾杯」
「いただきます」
ためらうことなく、口を付けた。

男性も名前は名乗らず、26歳会社員と自己紹介した。

「随分高そうな服なのに、濡れちゃったね」
「ええ」

でも、よく見ると男性も若いサラリーマンにしては高そうなスーツ。

「私のせいで、スーツが濡れましたね」
「ああ、そうだね」
そんなに気にする風もなく、男性は水割りを口にする。
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