天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「顔つきが変わったわね」
2年ぶりに会った元カノは、俺の顔をのぞき込んだ。

「そうか?もう28だしな。年を取ったって事だろう」
「違うわ。鋭さというか、尖った感じが消えて優しくなった。彼女でもできたの?」
えっ。

カマをかけられたのか、勘のいい彼女が本当に見抜いたのかはわからない。
でも、俺は動揺してしまった。

「ふーん。どんな子?」
「俺は別に・・・」
彼女ができたとは言ってない。

「わかるわよ。泰介って嘘をつけないんだから、いい加減自覚しなさい。こんなことでよくビジネスができるもんだわ」

はあ?
ムッとして睨んだ。

「お前の用事は俺をけなすことか?」

「違うわよ。もう、怒らないで」
ケラケラと笑いながら、グラスを口にする。

相変わらずつかみ所のない奴。
いつもこの調子で、俺は振り回されていたっけ。
別れて6年もたつのに、夏輝はあの時のままだ。
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