絵本彼氏と年上の私。
「自分の絵本を子どもが見ているの、しっかりと見るの実は初めてだったんです。……本当に自分の絵本が子ども達に喜んでもらえているのか、見るのが自信がなかったのかもしれません。」
「そんな……みんな大好きなのに。」
「………しずくさんが読んでくれたお陰で、子ども達が笑顔で絵本を見てくれたいるのを見る事が出来て、本当に嬉しくて………感動したんです。しずくさん、ありがとうございました。」
「………そんな。私はいつもように絵本を読んでいただけだよ。」
「……子どもが大好きなしずくさんだからこそ、僕の絵本を読んで子どもたちが笑顔になったのだと思いますけどね。」
「そんな事ないよ!白くんの絵本が素敵だからだよ!」
白の言葉を聞いて、つい大きな声を出してしまい、ここが図書館だとすぐに思い出し、しずくはハッとして自分の口を手で覆った。
そんな様子を見て、白はクスリと笑った後、ゆっくりとしずくの手を取った。外は寒かったはずなのに、彼の手を暖かくなっていた。
「ありがとうございます。………また、今度僕の本を子ども達に読んでください。いつか………。」
「うん、わかった。」
しずくが笑顔で頷くと、白は満面の笑みを浮かべてとても嬉しそうにしていた。それを見て、更にこの絵本の読み聞かせ会をやることにして、よかったなと心から思った。
しずくは彼のぬくもりを感じながら、白の笑顔をうっとりと見つめてしまっていた。
そんな時だった。
「あらあら!………もしかして、白ちゃんじゃない?」
「え………。」
そこには、しずくに読み聞かせ会の代役を恃んだ可愛らしいおばあさんが驚いた顔で白を見ていた。
白の知り合いだった事と白な呼び方にビックリしてしまっていた。
すると、白は少し恥ずかしそうにしながらも、おばあさんを懐かしそうに見ていた。
「お久しぶりです。菫さん。」
白はとても優しい声でそう呼んだのだった。