絵本彼氏と年上の私。
夢中になって見ていると、フッとシャンプーの爽やかな香りを感じた。それと同時に、後ろから両手が伸びてきて、しずくを優しく抱き締めたのだ。
「あ………おかえり、白くん。」
「夜景見てたんですか?」
「うん。………ずっと夜の海って怖くて苦手だったんだけど、ここから見る海はとても綺麗だなーって思って。」
「………よかったです。ここを選んで、そう思ってもらえて。」
白は顔をしずくの肩に埋めた。
それを見て、しずくは思わず笑ってしまう。
「今日の白くんは甘えたさんだね。」
「………大人っぽくしようと思ってたんですけど……。これが僕がしたかった事なのかな……。」
そう言うと、白は何かを考えるように、またしずくの首元と肩の間に顔を近づけ、そして唇を付けた。
「っっ………。」
「…………しずくさん、いい香りしますね。」
「……白くんと同じなはずだよ。」
「それは、嬉しいですね。しずくさんと全部一緒になれるんですね。」
「うん。」
白は1度キスをした後、しずくの手をとって大きな寝室へと向かった。
パタパタと柔らかい絨毯がひかれた床をスリッパで歩く。白はバスローブも似合っているな、などとドキドキしているのにそんな事を思ってしまう。