絵本彼氏と年上の私。
「ううん。私もごめんね。白くんは、どう?寒くなってきたけど、体調崩してない?」
『はい。……この間、しずくさんがたくさん利料理作ってくれてたの食べてたので、元気です。』
「そう………よかった。」
『……………。』
「……………。」
何か、何か言わなきゃいけない。
けれど、しずくは彼に何と声を掛ければいいのかわからなかった。
こういう時に年上としてフォローが出来ない自分が情けなくて仕方がなかった。
「白くん………私っ………。」
『しずくさん………。』
同時に名前を言い合ってしまい、「あ、白くん、何?」と、しずくは彼からの言葉を待った。
すると、白は少し言葉を濁らせた後、ゆっくりと言葉を紡いだ。
『キャラクターデザインの仕事が上手く言ってなくて。余裕がない状態なんです。こういうのカッコ悪いなって思うんですけど………。すみません。仕事に夢中になったりしてると、あっという間に夜になったりしてて………。』
「白くん………。」
『時間を見つけたり、作ったりしてなるべくは連絡するようにします。僕も、しずくさんの声聞きたいですし、話ししたいので。』
「うん。………ありがとう。そんな大変な時まで、私の事、心配してくれて。」
『いえ……。しずくさんが1番大切なはずなのに、会いに行けずにすみません。』
しずくは「そんな事ないよ。」と返事をしながら白の気持ちを感じとり、ホッとした。
「あのね。仕事で、大変だったら私もサポートするから。………何か手伝えることがあったり、話しを聞いてほしいこととかあったら、何でも言ってね。白くんの力になれれば、私も嬉しいから。」
本当は仕事の話は白から何か言われるまで黙っていようと思っていた。けれど、こうやって電話をかけてきてくれて、心配までしてくれていたのが嬉しくて、しずくはついそんな事を言ってしまった。
見守ると決めたはずなのに………。
『………ありがとうございます、しずくさん。でも、もう少し自分で頑張ってみます。』
「うん、わかった………頑張ってね、白くん。」
『はい!では、また落ち着いたら連絡します。』
「うん。………おやすみなさい。」
白は、「おやすみなさい。しずくさん。」と、返事をした後にブツッと通話がすぐに切れた。
この日、その音がやけに耳に残った。
それと共に、しずくの中に切ない気持ちが大きく刻まれてしまったのだった。