アンバランスな想い
瑛ちゃんの顔って
冴子さんに似てる

「飯は?」

「ないよ」

「俺のないの?」

「ないよ
だってもう作らなくていいですからって
言われてるもん」

冴子さんに

本当は
そうお姉ちゃんに伝えておいてねって
言われたんだけど

そこまで
言う必要はないよね

「スミレの飯がいい!
作って欲しいな~」

「瑛ちゃんの我が儘って
どんどん酷くなるよね~」

お姉ちゃんはそう言いながら
食器を片づけた

「残りでいいなら
私、もういらないから」

お茶碗を瑛ちゃんに渡すと
瑛ちゃんは嬉しそうにご飯を
口に運んだ

「やっぱ
スミレのご飯が一番だな」

「瑛ちゃん、携帯鳴ってるよ~」

お姉ちゃんが携帯を持って
瑛ちゃんに渡しに来た

「無視無視
わざと玄関に置きっぱにしたんだから
知らないふりをしておいて」

「何で?」

携帯に出ようとしない瑛ちゃんに
私は質問をした

「お袋からだから」

「相手がわかってるなら
出ればいいじゃん」

「お袋、五月蠅くて

何時に帰ってくるの?、とか
夕食は何時に食べるからそれまでには
帰って来い、とか
今、どこにいるんだ?、とか

一日に何回も電話してきて

俺、大人だぜ
社会人なわけ

高校生の光汰と一緒にされたら
困るんだよ」
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