アンバランスな想い
「橘さん、重たそうだね」

振り返ると、瑛ちゃんが笑顔で歩いていた

学生鞄に、詰め込んできた教科書が
重たい

こういうときは…

「重たいよ
持ってくれると
嬉しいな」

…で良かったのかな?

瑛ちゃんが嬉しそうな顔をした

廊下を歩く私の横に並んだ瑛ちゃんは
私の鞄を持ってくれた

「友人たちは?」

「先に帰りました
私は、図書館で勉強して

…家だと集中できないから」

私は下を向いた

どんな顔をして話していいか
わからない

久しぶりの瑛ちゃんに
ドキドキしている自分がいた

恋をしているわけじゃないけど

緊張した

「車通勤なんだけど
乗っていく?」

「え?
でも…」

「話をしようか
試験の前日だけど

俺は話がしたい

明日の試験
数学でしょ?

成績が悪かったら
マコにどうにかしてもらおうな」

ほほ笑む瑛ちゃんの顔からは
優しさがあふれ出ていた

ふざけた会話をしてこないのは
きっと
車の中で
真面目な話をするつもりでいるんだ

前も
真剣な話をするときの瑛ちゃんは
冗談を言ったりしなかった

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