アンバランスな想い
ここら辺で
転んだんだよね~

私は膝をついて
座ると
地面を見渡した

歩道を歩いている人たちに
あやしい視線を送られるけど

携帯を見つけたから
恥ずかしさを我慢した

「探し物はこれ?」
図上で声がする

顔をあげると
瑛ちゃんが携帯を持って
立っていた

「何で?」

「そこの植え込みにあったのに
気づいたけど

もう友達と電車に乗ったあとだったから」

「いつから?」

「まあ途中まで
マコと一緒だったけど
ずっとここら辺にいた」

「ええ?
だってそれじゃ
何時間も…」

「スミレと話がしたかったから」

瑛ちゃんは
笑った

「ずるいな~
瑛ちゃんって格好良すぎる」

私は地面に座り込んだ

「未練ったらしく
スミレの帰りを待っている
男のどこが
格好いいんだよ」

瑛ちゃんが私の顔の前に
手を差し出した

瑛ちゃんの手を握ると
私は立ち上がった

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