アンバランスな想い
「あれ?
百合子って彼氏いるよね?」

先月、嬉しそうに報告していたような…

「いるよ
でも小泉先生も好き!」

「彼氏がいるんじゃ
小泉が誰と仲良くしようと
関係ないじゃん」

「彼氏がいなくたって
関係ないってば!」

順子が突っ込んだ

「好みのタイプの
男には
それ相応の対応ってのがあるの!」

「それ、無茶苦茶な言い分だよ」

三人の笑い声が
教室に響いた

「女の子の笑い声って
凄く響くんだね」

教室のドアから
瑛ちゃんの顔が見えた

白衣を着ている
瑛ちゃんは
手に書類の束を持っていた

「あ…小泉先生!」
百合子が嬉しそうに声をあげた

保健室に行くには
久美先輩の許可が必要だけど

偶然
瑛ちゃんのほうから声をかけてくれるなら
久美先輩も文句を言えないだろう

「しっかり食ったら
しっかり運動しとけよ

…って菓子は持ち込んでいいのかよ?」

「お弁当の残りってことで」

私がお菓子のゴミを鞄にしまいながら
口を開いた

「今回だけ
多めに見てやるから

腹が痛くなったら
保健室に来いよ」

そう言うと
瑛ちゃんは廊下を歩いて行った

「やっぱ
格好いいな~」

百合子が頬を赤くしていた
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