ヴァンパイア†KISS
パパとわたしは寮を出ると、パパが乗り付けてきた外車でパパが経営しているロンドン市内のホテルのレストランに入った。

パパは相変わらず優しく、その顔に刻まれたしわすらとても誇らしげで、もう50歳になるのにそんな歳は微塵も感じさせない。

パパは給仕にてきぱきと指示すると、このホテル自慢の料理を次々と持ってこさせた。

「パパ……朝からこんなに食べられないってば…」

わたしは相変わらずちょっと強引で子供みたいなところのあるパパに舌を巻いた。

でも、そんなとこが大好きなんだけど……。

「花恋。学校はどうだ?そろそろ日本に帰りたくなっただろう?ほんとうは留学もあと2年でも3年でもやらせてやりたいが、パパは花恋が20歳になったら結婚させる、と決めていたんでね」

「…………パパ!?」

パパがわたしを結婚させようと思っていたなんて初耳で、あまりの驚きに耳を疑った。

「花恋もこの3月で20歳になる。誕生日は3日後だ。その時にこのホテルで各政財界のお偉方を呼んで盛大なバースディパーティーを催す手はずもできている。そしてそのパーティーで花恋の結婚相手の候補を発表するつもりだ。花恋、亡くなったママもきっと喜ぶぞ」

「パパ……何言ってるの?なんで20歳で結婚なんて……わたしには、まだ早すぎるよ」

パパはわたしをなだめるようにニッコリと微笑む。

「花恋。ママが結婚した歳を知ってるか?20歳だ。ママは20歳の時にパパと結婚し、花恋を産んだ」

確かにママが20歳の時に当時30歳だったパパと結婚したって聞いた。

でも、だからってなんでわたしが20歳で結婚なの……!?

「パパ!なんでよ…。今までここまで強引なことしたことないのに……。なんでよ!」





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