ヴァンパイア†KISS
パパはゆっくりとタバコを吹かすと、少し神妙な面持ちになってつぶやいた。

「それが、ママの遺言だからだ…!」

「!?」

ゆ……いご……ん?

「……パパ、どういう…こと?」

わたしは唇の震えをかすかに感じながら懸命にパパに問いかけた。

「こんなこと花恋には言いたくないが……。代々、花恋へと続く女達の系図は早死にでね。ママも例外ではなかった。ママの母親であるお前のお婆さんも、そのまた母親も20代でこの世を去っている」

「……確かに、お婆ちゃんには会ったことなくて、早くに亡くなったとは聞いていたけど……」

「そして全員が全員、20歳で娘を産んでいるんだ。それは、この100年間続いてきたことだ」

100年続いて………。

それがいったいどういうことなのか、考えてもわかるはずもなく、わたしは頭を抱えそうになる自分を必死で抑えた。

「花恋。お前が早死にするなどと言っているわけではない。パパもそれだけは、絶対に阻止したい。だが結婚は、花恋の代々の母親たちが護ってきた慣わしだ。そのためにパパはお前を絶対に幸せにしてくれる婿を選んだつもりだ」

「……パパ!!わたし……好きな人がいるの…!!」

デュオを想うと涙が出た。

ヴァンパイアと結婚できるわけがないけれど。

好きな人がヴァンパイアなんて、とても言えないけれど……!!



< 105 / 411 >

この作品をシェア

pagetop