ヴァンパイア†KISS
「クローディア様も前はあんなにウルフ様を愛していらっしゃったのに、切ないものですねぇ…。あ…!も、申し訳ありません!デュオ様!クローディア様はどんなヴァンパイアをも虜にする素敵な方で……」

後ろでため息のように囁いたブルースを氷のように振り返ったデュオに、ブルースは慌てて弁解しようと笑顔をつくった。

「ブルース。叔父の動向が気になる。これからもウルフの動きを私に報告しろ」

「……はい!仰せのとおりに!デュオ様」

「ねぇ、お兄様。はやくブルースに邪魔された続きをやりましょう。お父様とお母様よりも濃厚な、ね…」

後ろでつまらなそうに事の一部始終を見ていたルシアはそう言うと、もとの妖艶な笑みで兄を誘った。

「ルシア、そう急かすな。お前のそのわがままなところが、私は好きだがな…」

デュオもまた艶やかに微笑むと、赤く甘い果実をその口から零れさせた。



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