ヴァンパイア†KISS
｢キングストン・ヴァンパイア研究所｣

医者としてロンドンに名を馳せていたバーナード・キングストンが設立した一大プロジェクトの代表施設である。

バーナードはまだ若き３０代半ばの医者であった。

この頃、ロンドンではヴァンパイアの存在が確かなものとして、一般の市民にも広まりつつあった。

次々と起こる怪事件。

夜になると現れ美女ばかりを次々と襲ってはその首に不思議なキスマークを残し、いつしか女たちは廃人に成り果てていく。

そしてその血が致死量に至ることなく少量ずつ吸われていく怪奇。

まるで人間を弄ぶかのように。

バーナードは巨大研究所の廊下を足早に歩いていた。

そして流れるような金髪を撫で付けるようなしぐさをしながら、隣に付き従う助手に声をかけた。

｢ボイルくん。サンプルの様子はどうだね？｣

｢ええ。最初は抵抗してひどかったですが、今はおとなしくしています。しかし、ほんとうにあんな少女がヴァンパイアなのでしょうか？市民による密告があったとのことですが……｣

｢まだ、わからん。噂というのは尾ひれはひれがつくものだからね。とにかくまだ捕らえて３日目だ。その血の成分を充分に調べないことには……。いつ牙をむくかわからない。充分に注意しろよ…！｣

｢はい！｣

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