ヴァンパイア†KISS
その翌日、わたしはまた長距離電車に揺られてロンドンの中心部のパパのホテルを目指していた。

短命のことやわたしのヴァンパイアの血のことは、カルロにもエマにもわからないということだった。

ただ、今半分だけわたしの中に流れているヴァンパイアの血がこれから徐々に濃くなっていくかもしれないとカルロは言った。

わたしの中に流れているヴァンパイアの血はこれからどうなっていくのだろう。

不安な想いを抱えたまま、わたしはひたすらロンドンの中心部を目指した。

エマとカルロはしばらく様子を見るために、あの地下牢にもう少し暮らすと言った。

まだガイアの封印は解かれていないし、散り散りになったヴァンパイアたちの行方も確認しておきたいと。

デュオがわたしと出会っていたことはとても意外だったみたいだけど。

今は、エマとカルロとシエルとエイダ、3人と1匹で仲良く幸せに暮らして欲しいな、なんて願わずにいられなかった。

わたしはエマとウルフの100年にわたって繋がる強い愛に勇気付けられていた。

「やっぱり、婚約は断らなきゃ」

そう強く思い始めていた。

ロンドン中心部に着くころ。

ちょうど夜も更けてきて、パパとの約束の時間になっていた。

わたしはホテルのロビーを抜けてパパに呼ばれた応接室へと急ぐ。

応接室を見つけてノックしようとしたその時。

「花恋びっくりするだろうなぁ。まさか僕が婚約の相手だなんて」

この…声……は……!!

ものすごく懐かしくて聞き覚えのあるその声に、わたしはいてもたってもいられずノックもせずにドアを開けていた。

「かずちゃん!」



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