ヴァンパイア†KISS
ドアを開けると、パパとかずちゃんがお互いに向かい合ってソファーに座り話しこんでいる様子だった。

かずちゃんはわたしの声に振り向くと、笑顔で言った。

「花恋。久しぶり!」

神藤 和希(しんどう かずき)。

わたしより2歳年上の日本の薬品系の大企業の一人息子。

わたしのパパと彼のパパは仲が良くて、わたしが小さかった頃、彼はよくわたしの家に遊びに来ていた。

茶色がかったふわふわの髪に、優しげに目尻の垂れた瞳、ソフトな顔立ちで性格もとても優しかった。

わたしの幼なじみといってもいいほどの人。

彼は16歳の時にアメリカ留学をするために海外へと旅立った。

おくてなわたしはその時に初めて彼が好きだと気付いたけど、後の祭りだった。

かずちゃんは世界へ羽ばたくとともに、他の大企業の娘と婚約してしまっていた。

その後彼はずっと海外で生活していたため、会うことはなかった。

18歳になると同時に結婚するのかと思っていたけれど、結婚したという話は聞いていない。

そのかずちゃんが、今、わたしの婚約者として目の前にいるなんて……!

「かずちゃん……ど…して?」

「花恋。僕はずっと君が好きだった。前の婚約は親が勝手に決めたこと。でも僕はやっと親の決めたレールをはずれても、君を幸せにできる自信がもてたんだ。花恋。僕と、結婚してくれませんか?」

………かずちゃん……!!



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