ヴァンパイア†KISS
20歳の夜
2008年、3月22日。
浅倉花恋、20歳の誕生日のその日。
わたしは、婚約する。
「いやぁ、おめでとうございます!実にめでたい日だ。お嬢様のお誕生日に、婚約発表。それを祝うような美しい満月の夜ですな」
パパの仕事関係の実業家たちが口々に祝辞を述べながらホテルの誕生パーティーの会場へと入ってくる。
わたしは白の膝丈のスカートのシンプルなドレスに髪をアップに結い上げて控え室のイスに座っていた。
鏡を見ながら、自分の情けない顔にため息をついた。
メイクも髪型も綺麗にしてもらったはずなのに、不安な気持ちにつられて表情はとても冴えなかった。
「これで、いいの?花恋……」
思わずつぶやいた直後、控え室のドアのノックの音が聞こえた。
「はい?どなたですか?」
ゆっくりと開けられたドアの外側に、5歳ほどの男の子が立っていた。
その子は天使のようにくるくるとした金髪の短い髪がとてもかわいらしく、濃い青の瞳をわたしにじっと向けると、おもむろに背に隠していた一輪のバラを差し出した。
可愛らしい笑顔で少しピンクに染まった頬を緩ませて言う。
「カレン、20歳の誕生日おめでとう!」
そのバラはとてもめずらしいバイオレット色に輝いていた。
「あ、ありがとう。君、どこの子?」
わたしがバラを受け取りながらそう言うと、
「カレン…僕を忘れちゃだめだよ」
少し怒ったようにふくれた。
そして背伸びしてキスしてくれというように頬を突き出した。
「カレン、お礼のキスは?」
可愛らしい声で言われて、きゅんとしてしまったわたしは腰をかがめて男の子の頬にキスしようとした。
浅倉花恋、20歳の誕生日のその日。
わたしは、婚約する。
「いやぁ、おめでとうございます!実にめでたい日だ。お嬢様のお誕生日に、婚約発表。それを祝うような美しい満月の夜ですな」
パパの仕事関係の実業家たちが口々に祝辞を述べながらホテルの誕生パーティーの会場へと入ってくる。
わたしは白の膝丈のスカートのシンプルなドレスに髪をアップに結い上げて控え室のイスに座っていた。
鏡を見ながら、自分の情けない顔にため息をついた。
メイクも髪型も綺麗にしてもらったはずなのに、不安な気持ちにつられて表情はとても冴えなかった。
「これで、いいの?花恋……」
思わずつぶやいた直後、控え室のドアのノックの音が聞こえた。
「はい?どなたですか?」
ゆっくりと開けられたドアの外側に、5歳ほどの男の子が立っていた。
その子は天使のようにくるくるとした金髪の短い髪がとてもかわいらしく、濃い青の瞳をわたしにじっと向けると、おもむろに背に隠していた一輪のバラを差し出した。
可愛らしい笑顔で少しピンクに染まった頬を緩ませて言う。
「カレン、20歳の誕生日おめでとう!」
そのバラはとてもめずらしいバイオレット色に輝いていた。
「あ、ありがとう。君、どこの子?」
わたしがバラを受け取りながらそう言うと、
「カレン…僕を忘れちゃだめだよ」
少し怒ったようにふくれた。
そして背伸びしてキスしてくれというように頬を突き出した。
「カレン、お礼のキスは?」
可愛らしい声で言われて、きゅんとしてしまったわたしは腰をかがめて男の子の頬にキスしようとした。