ヴァンパイア†KISS
男はわたしの結い上げていた黒髪を乱暴に解くと、わたしの肩まである髪の一房を掴みとった。

「黒髪に、黒の瞳……」

わたしは先ほどまでわたしに口付けていた男の唇が、悩ましげに動くのを目で追っていた。

欲しい……。

この人の唇が、欲しい!

喉が飢えるほどに渇く。

でも………!!

男はさらにわたしに顔を近づけると、

「黒髪のヴァンパイアなど、いないはず……。ウルフの子にしても、まだ生まれてはいまい……」

男は訝しげな表情で自分に確認するようにつぶやいた。

男の冷たい視線がわたしの瞳を貫く。

「カレーン!!カレン、どこなの!?」

冷たく張り詰めた空気を破るように、サラの高く澄んだ声が響いた。

急に現実に戻されたわたしは、男の瞳から目を逸らしてサラを探す。

「サ……ラ……」

男の甘美な唇にどうしようもなく吸い寄せられそうになる自分をどうにかしたくて、藁にもすがる気持ちでサラを探した。


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