ヴァンパイア†KISS
男は「ここまでか…」とつぶやくと、グイっとわたしを抱き起こし男の唇とわたしの唇を息が触れるほどに近づけた。

「お前とのキスは血のワインより極上だよ」

男の唇がわたしの唇を塞いだ瞬間、プチっと音がして甘く薫る血の味がした。

男は瞬時に唇を離すと、黒のマントを翻して立ち上がり歩き出しながら振り返った。

「私のキスを忘れるな。お前はいずれ私がいただく」

男は甘い微笑みを投げかけると、すぐに踵を返した。

男が颯爽と別荘の中に消えていくのを月明かりの中、ベンチに座りながらぼんやりと見ていた。

「カレン!こんなことにいたんんだ。探したんだよ!」

サラがわたしの黒のストールを持って心配げに駆け寄ってくる。

「カ…レン、どうしたの?唇から血が出てる……」

サラに言われてわたしは初めて男に唇を噛まれたことに気付き、「なんでもない…」と首を振った。

サラは慌てたようにスカートからハンカチを取り出すと、わたしの血をふき取ろうと近寄った。

わたしは反射的に顔を背けると、舌を突き出し血をペロリと舐め取った。



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