ヴァンパイア†KISS
「……な……!?」

顔を真っ赤にして一瞬怒り出しそうになったわたしに。

「スキあり!カレン!」

シエルがそう明るく叫んだその時。

彼の額からバイオレットの陽光のような輝かしい光が解き放たれ、わたしとデュオは眩しさで目を細めた。

光の中で、シエルの額にバイオレットの三日月が現れたのを見たと思った瞬間。

彼は卵の形のようなバイオレットの光に包まれると、その光はどんどん大きくなっていった。

一際大きな輝きが稲妻のように走った次の瞬間。

そこには、15歳ほどの金髪の少年が立っていた。

「カレン、君は父さんの血を濃く受け継いだ娘のような存在。だから僕の血とはとても近いんだ。僕はカレンからエクスタシーのエナジーをもらうだけでどんどん大きく強くなれる。デュオ、あなたも妹のルシアからエナジーをもらっていたよね?兄弟からもらうエナジーはとても絶大だ。ヴァンパイアの強さは本来、その血の濃さで成り立っているんだから、ね」

シエルはそのウルフに似た太陽のような微笑は変わらずに、かなり伸びた身長を誇るように黒のマントを舞わせて一回転した。

「マントを着ていてよかったよ。身長が伸びすぎて服がぼろぼろに破けちゃった…」

笑顔でそう言うシエルのマントの下から次々と服の切れ端が舞い落ちてきた。

「お前、まさかその額の紋章は……」

デュオが驚きを押し殺すように言うと、

「デュオは僕の従兄弟に当たるんだなぁ。父さん同士が兄弟だもんね。カレンは僕のお姉さんみたいな人だし、僕いろいろ二人から教えてもらわなくちゃ」

マントを楽しげに舞わせながら聖母マリアのように微笑む。



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