ヴァンパイア†KISS
花嫁修業
ロンドン西部・ノッティングヒル
東京で例えるなら白金といった風情の閑静な高級住宅地。
セレブなどが住んでいることで知られるこのエリアに、わたしはやって来ていた。
「花恋さん。私はこれからまた仕事があります。夜には帰りますのでそれまでは和希とゆっくりしていなさい」
あの婚約発表の日から5日あまり、わたしはバタバタと忙しく引越しの準備をしていた。
今日はその引越しの日なのだ。
わたしを車で送ってきてくれたかずちゃんのお父様である神藤社長は、ベンツの中からそのダンディーな目尻のしわを寄せてにっこりと微笑むとこの場をあとにした。
神藤社長はイギリス進出のため、これからは拠点をこのロンドンに移すと言う。
それに伴って、息子であるかずちゃんもいずれ「ガイア」を継ぐべくこのロンドンに暮らすこととなった。
わたしは結婚のために、学校の退学手続きを取り、日本へ帰国することもやめた。
そう、わたしは、神藤家の花嫁修業のためにこの高級住宅地のかずちゃんの家へとやって来ていたのだ。
「なに、これ?……でかっ!」
神藤社長が最近購入したという邸宅の前でわたしは一人絶句した。
普通の日本の家の10倍はあるだろう庭つきのレンガ造りの一軒家だった。
3階建てに地下室、屋根裏まであるとは聞いていたけれど。
まさか、これほどとは……!
そこでおもむろに分厚い玄関ドアが開いた。
「花恋!待っていたよ。さ、入って!」
笑顔のかずちゃんはとても爽やかであどけなかった。
東京で例えるなら白金といった風情の閑静な高級住宅地。
セレブなどが住んでいることで知られるこのエリアに、わたしはやって来ていた。
「花恋さん。私はこれからまた仕事があります。夜には帰りますのでそれまでは和希とゆっくりしていなさい」
あの婚約発表の日から5日あまり、わたしはバタバタと忙しく引越しの準備をしていた。
今日はその引越しの日なのだ。
わたしを車で送ってきてくれたかずちゃんのお父様である神藤社長は、ベンツの中からそのダンディーな目尻のしわを寄せてにっこりと微笑むとこの場をあとにした。
神藤社長はイギリス進出のため、これからは拠点をこのロンドンに移すと言う。
それに伴って、息子であるかずちゃんもいずれ「ガイア」を継ぐべくこのロンドンに暮らすこととなった。
わたしは結婚のために、学校の退学手続きを取り、日本へ帰国することもやめた。
そう、わたしは、神藤家の花嫁修業のためにこの高級住宅地のかずちゃんの家へとやって来ていたのだ。
「なに、これ?……でかっ!」
神藤社長が最近購入したという邸宅の前でわたしは一人絶句した。
普通の日本の家の10倍はあるだろう庭つきのレンガ造りの一軒家だった。
3階建てに地下室、屋根裏まであるとは聞いていたけれど。
まさか、これほどとは……!
そこでおもむろに分厚い玄関ドアが開いた。
「花恋!待っていたよ。さ、入って!」
笑顔のかずちゃんはとても爽やかであどけなかった。